酔っ払いの二人を帰すと
手早く店仕舞いをする


忙しなく動く私を目で追ってくる莉子に
時折視線を合わせて微笑む


もちろん願うのは
俺に堕ちろ、一択


そんな邪な想いばかりを持ちながら
店から家へと移動した



「先にお風呂に入っちゃいなさい」



泣いている莉子のために
リラックス効果のある良い匂いの
乳白色の入浴剤を入れた


素直に頷いた莉子は
髪も乾かして戻ってきた


ミネラルウォーターを渡すと
交代でお風呂に入った


明日また目が腫れるといけないから
アイシングしてから寝させないと


なんて思いながらリビングに戻ると

莉子はソファの上で小さく丸まって寝ていた


「クッ、可愛い」


起こさないようにそっと抱き上げ
寝室のベッドまで運ぶ

ピッタリ寄り添って横になると
擦り寄ってくる莉子に愛しさが込み上げてくる


もう好きだって告げようか


でも・・・


まだ莉子は失恋したばかりで


未だ衝撃的な色黒のベットシーンに心を痛めている


それを思えば


焦りは禁物



可愛い寝顔を見ていると
長い睫毛が持ち上がる気配がした


慌てて寝たふりと目を閉じる



そっと気配を確かめながら目を開ける




莉子の閉じられた目蓋に安心して




せめて・・・



これくらいは許してくれる、よな?



寝息を立て始めた莉子のオデコに



そっと唇を寄せた