持って帰ってきた莉子の荷物を
先ずは玄関から出していく


ジェットコースターみたいに気分を上げ下げする莉子を


そっと抱き寄せた


一方的な俺だけの想いを
受け取ってくれたみたいに

俺の背中に莉子の腕が回された


・・・っ


嬉し過ぎて反応した身体

そのことに後悔していると


「ごめんね?もう平気」


莉子から離れていった


「・・・そう」


内心穏やかではなかったけれど
ここは深く考えないことにした


残りの荷物は、ほとんど洋服だが
使っていなかった部屋に入れることにする


持ちきれなかった荷物はマンションの家主であるNEXTOPの社長に事情を説明して

業者を手配してもらった


莉子が少し悩んでいる住所変更のことも

迷う方がおかしいと
当たり前のように納得させたし


一緒に寝る時間は僅かだからと
同じベッドで寝ることまで承諾させると


莉子は思惑に乗ってくれた



「中井莉子二十四歳!今日から凛さん家でお世話になりま〜す」



上手く事が運び過ぎて怖いが
これは天がくれた千載一遇のチャンスとばかり


勝ち取った莉子とのルームシェアを楽しむことにした




そして、金曜日



「行ってきま〜す」


「行ってらっしゃ〜い」


まるで新婚カップルみたいに手を振り合ってからは


莉子の引越しに関わる全てを終わらせることにした


途中、莉子からのメッセージに足を止める


[今夜は同期で飲み]


同期の二人にはルームシェアをバラしても良いと話したから

お昼休みでは説明し足りなかったんだろうと推測した


  [シメはおいで]


他所の店で飲む莉子を思い浮かべただけで

沸々と嫉妬心が芽生えるから

食事までは許すことにしよう


莉子を好きになってからは
案外、独占欲があることに気付いたり


莉子を思い浮かべて笑っていたり


実は俺も普通の男なんだと笑える


莉子のことばかりを考えながら
デパートで莉子用の食器とカトラリーを揃えて家に戻った