莉子を寝室に寝かせて
臣に電話をかけた


(どうした?)

「クソチャラ男がしでかした」

(遂にバレたか)

「あぁ」

(で?)

「繁華街で泣いてた莉子を連れて帰ってきた」

(やったな)

「やってねーよ」

(そっちの意味じゃねぇよ)

「知ってる」

(どうすんの?)

「清水の銀行関係、詰められる?」

(簡単)

「また連絡する」

(了解)



清水の勤める銀行は地方銀行で
この街での順位は下位

有事を見越しての牽制に臣を使うことした


そろそろ起きるころかと寝室を覗けば
起き上がった莉子が見えた



避けては通れない話を聞くためにベッドに腰掛けると


莉子は苦しそうに涙を流した



期待も裏切らないゲス野郎は
莉子が来ないと踏んで自宅に女を連れ込んでいた


泣きながら飛び出して来た莉子を
たまたま見つけたのが俺で良かった


歓楽街で無防備に泣いていた莉子は
夜の闇に引き摺り込まれる恐れもあったと思う


・・・クソが


苛立ちを覚えながらも
莉子を優先したい想いから


少しでも笑って欲しくて
また仮面をつけた