「「「こんばんは〜」」」


莉子だけを誘ったはずなのに
要らないオマケがついて来た


今年は三人だったという新入社員
熊みたいな青木と姉御肌な真澄


少ない同期だからか意気投合した三人の結束は固そうで


受け入れることにした


「凛子ママ、莉子ってね〜」


既にイタリアンで食事を済ませてきた三人は
いい感じに出来上がっていて


特に真澄はタイミング良く莉子の情報を提供してくれた


「付き合い始めた彼に義理立てして
全ての男性と口をきかないことにしてるらしいの」


「なにそれ、小さい男と付き合ってんのね?」


「違うのよ、凛子ママ
彼の希望じゃなくてぇ、莉子が誤解されたくなくて勝手にそうしてるんだって」


「ふーん」


彼氏持ちか・・・

反応が薄かったのは
彼氏に義理立てとか


めちゃくちゃ良い女


俺の中で莉子の存在は確実に大きくなっていて


彼氏がいるから諦めるとか、奪うとか
激しい恋愛ではなくて

莉子を見守る穏やかな存在でいたいと思った


「でもね、凛子ママ」


「ん?」


「今日、たまたま見かけたんだけど」


「莉子の彼氏を?」


「そうなの、そしたらね?」


「なによ」


「なんと、S女の私でも知ってるチャラ男だった」


城山の裾にある誠愛女学院は所謂お嬢様学校で
通称、S女《エスじょ》と呼ばれている


そのS女出身者が知ってるなんて
かなりチャラいことが分かる


「莉子、一度連れておいでよ」


「・・・いい、けど」


不服そうではあるけれど
頷いた莉子を見ながら


変な奴なら奪ってやると

穏やかな恋返上とばかりに
密かに決意を固めた