・・・えっ・・・え




どういう、こと?




・・・なん、で?




大きく開いたままの目に



離れていく凛さんの綺麗な顔が見える



どうして、も
なんで、も


聞きたいのに口は開いてくれなくて



嬉しいのに




戸惑いしかない私と対照的に



顔の周りに音符が見えそうなほど上機嫌にも見える凛さんは



固まったままの私を


楽々と抱き上げた



「・・・キャ」



近い近い近い近い近い近い近い近い



一気にギュンギュン騒ぎだす鼓動が
熱を与えるみたいに身体中が火照り始める


凛さんに聞こえるんじゃないかって
心配になるほどの動悸に


慌てておりようと動いてみるけれど


「諦めろ」


またも低い声に制されて


大人しく腕の中に収まることにした



凛さんが腰を下ろしたのは
さっきまで私が座っていたソファだった



・・・・・・ゔぅ


横抱きのまま座られたから
居心地が・・・悪い


それでも


動けない私は


今度は
凛さんの唇を見過ぎていたようで



「フッ」



その綺麗な唇が弓のようにカーブを描いただけで



また頬に熱が集まってきた



「困ってる、よな?」


「・・・うん」


もう何がなんだかわからない

それなのにこんな時に空気を読まない腹の虫が


グゥゥ


いつもより控えめに鳴いた


「・・・っ」


「色々、話す必要があるから
先ずは腹ごしらえからにしようか」


違和感はあるけれど

慣れてきた凛さんの声に頷くと
居心地の悪い膝の上から下ろしてもらえた