翌朝、気怠さが残る身体でどうにか起き上がると


いつもは一緒に寝ているキングサイズのベッドに


凛さんの姿はなかった


こんな状態になるなんて
思ってもみなかったから


苦しくて仕方がない


それでも


此処を出ると決めたのだから
本意ではなくても


貫くしかない


いつまでも残る未練タラタラの想いを殺して勢いよく起き上がった



支度を済ませてリビングに向かうも
そこにも凛さんの姿はなかった


もしかして、楠田さんの所へ行ったのかも


そう考えてしまう嫉妬深い胸が苦しい



凛さんのこと
好きだけど


好きだから


此処を出て行くしかなくて


きっと、もう

凛さんのBARに飲みに来ることも
顔を合わせることも


名前を呼んでもらうことも


無くなる



そう結論付けただけで

せっかく頑張った化粧も


また流れ出した涙に崩された


「・・・やだ」



一度否定してしまえば


際限なく溢れてくる想いに


さらに涙が落ち始めた







・・・










「中井・・・大丈夫か」




私の顔を見た瞬間の青木の反応がコレ


「おはようじゃなくて?」


「・・・おはよう」


「ん」


真っ赤な目で出勤した私に
近寄ってくる人は一人も居なかった


お陰でデスクまで無言で到着したんだけど


WEB担当の島からの視線は容赦なくて
それでも直接聞いてくるような人は此処にはいない


だから・・・
その代表に青木がなったようだった