「違う?」


「・・・」


ちゃんと説明したいのに
溢れ落ちる涙は呼吸を荒くして


上手く言葉にできない


「アンタからのメッセージに返信したけど
未だに既読になってないのは
そういうことなんじゃないの?」


そう言われて初めて
送ったまま見ていない携帯電話を思い出した


「・・・っ」


取り出してみたそれは
待ち受け画面の段階で凛さんからのメッセージが見えた


「莉子、アンタがどうしても色黒とよりを戻すって言うなら
アタシは反対はしないわよ?
浮気されたって、そんなダメンズが好きな人もいるからね?
でも・・・そうじゃないでしょ?」


向かい側から聞こえてきたのは
いつもの優しい凛さんの声で


私を心配してくれていることがわかる


開いたメッセージには


[食事が終わったら連絡して迎えに行くから]

[大丈夫なの?]

[今ね、NEXTOPの山下社長と話した]

[急いで此処を出て行く理由ができたのね]


凛さんの鋭い視線の訳が並んでいた


急いで出て行く理由は・・・


洸哉じゃない


でも、それを言うには
本当の気持ちを曝け出すことに繋がる


躊躇っているうちに


黙り込んだ私に呆れたのか


「今日は遅いからお風呂に入って寝なさい」


凛さんは部屋を出て行ってしまった