「軽蔑、しないの?」


先週の水曜日までは洸哉のことが好きだった私のことを

変わり身が早すぎるって軽蔑されるんじゃないかと思っていた


「馬鹿ねぇ」


背中をさすってくれる優しい真澄は


「私は莉子の味方よ?」


そう言って一緒に泣いてくれた




気分が落ち着いて顔を見合わせた時には
お互いの目が真っ赤になっていることに笑って

少し落ち着くことができた


「好きになったから、出て行くの?」


「だって、一緒には居られない」


「もしか、凛さんが大丈夫なら?」


「ううん。ちゃんとパートナーがいるの」


「それは凛さんから聞いたの?」


「・・・んと、土曜日に紹介されたの」


「パートナーって?」


「うん」


正確に言えば“投資”のパートナーって紹介されたけれど

幼馴染ということもあって
二人の雰囲気は入り込む隙間も見つからなかった


「・・・・・・そっか」


重い空気にしてしまったけれど
真澄には本心を知って貰いたかった


「なんか、少し気持ちが楽になった」


「そう?なら良かった」


「お腹空いてきた〜」


「よし!今夜は食べよう!」


「飲む、じゃなくて?」


「アンタ、今日は月曜日よ?」


「・・・そうでした」


「「ハハハ」」





・・・





  [食事に行ってきます]


凛さんへ送ったメッセージの返信を見ることなく


真澄とのお喋りは閉店まで続いた



「ご馳走様でした」


「また帰っておいで」


「はいっ」


我が家に見立てた挨拶の女将にお礼を言って店の外に出た


「莉子、帰るの辛かったらうちに来る?」


不意に立ち止まった真澄は
心配そうに私の顔を見上げていて


その優しさに、また泣きそうになった