ーーーーー月曜日



中央駅までは此処から電車で一時間


いつもは寝ている時間に家を出た

こんな日のために残している
予備の服を着てラッシュに飲まれるだけで
五歳は老けた気になるのは、すし詰めの車内の所為


凛さんにルームシェアを提案して貰わなければ
新しい部屋を契約するまでは毎日コレが続いていたのだろう

想像しただけで肩に重石が乗せられたみたいに

会社に着いた時にはフラフラになっていた


「おはよ」


「おはよ」


「なんか老け込んでない?」


「来たばかりだけど、既にクタクタよ」


悲壮感漂う私に気付いたのか
真澄はクスクスと笑い始めて


「凛子ママと朝から何やってんの」


「ん、と、今朝は実家から出勤したの」


「あ〜、それでそんな風なのね」


察しの良い真澄は私の老けっぷりに納得したように頷いた


「んで?」


「ん?」


「なんで実家なのよ」


この話はこれで終わらないようだ


「・・・えっと」


何から話して良いのか頭の中を整理できない


「あ〜待って、ちょっと想像させて
凛子ママと喧嘩?いや、違うか
凛子ママが怒る訳ないもんね〜
ってことは〜?」


更衣室を出てオフィスへ歩きながら
名探偵のように腕組みまでしている真澄は

眉間に皺を寄せたまま、答えを出せなかった


お陰で挨拶は全て私の仕事になって
デスクに到着した時には
更に老け込んだ気がした


「おはよ」


「どうした、中井」


向かい側から眉を下げてきたのは安定の青木で


「なんか・・・色々ね」


力を無くしたように椅子に腰を落とすと


「コーヒー、買ってきてやるよ」


自販機コーナーへと大きな身体を翻して行ってしまった


なんだかんだ優しい同期に気持ちが少し軽くなる気がした