ポタポタと落ちる涙を


今回は拭わないことにした



気持ちを認めた翌日失恋なんて
分かっていた結末でも

早すぎる展開に納得できない胸のモヤモヤが涙をつくる


失恋には新しい恋


よく言うそれが一夜で消えるなら
また次の恋を探せばいいの?


ベッドの上で膝を抱えて顔を埋める



下を向いて泣いてるなんて
起きたら凄いブスなんだろうな、なんて


頭の隅には冷静な自分もいて


その僅かな冷静な自分を
凛さんの匂いが邪魔をする


この部屋もベッドも

あの二人にしたら神聖な場所なのに・・・


「・・・っ」


・・・・・・待って


凛さんのベッドで一緒に寝てる私って
とんだ邪魔者なんじゃないかな


・・・・・・だって


私が彼女なら・・・許せない



導き出した答えは至極当然のことで
始めたばかりのルームシェアを


漸く解消する気持ちになれた



明日は日曜日だから
NEXTOPに行って賃貸物件を探そう


楠田さんは良い人そうだったから
後数日くらいなら許してくれるはず


引っ越す時にはちゃんと謝ろう


頭の中で明日のことを思いながら
膝を抱えて俯いていた所為で



気がつけば


夢の中へと旅立っていた











そんな私は




「なに泣いてんのよ」




凛さんの長い指が涙を拭ってくれたことも




「もう潮時だろ」




楠田さんが凛さんの頭を撫でたことも




二人の会話が重い凛さんの過去を指すことも





知らないでいた