「明日?」


どうやらこれには乗らないらしい


だから


「下絵を描きに出るのはいつも突然だし
いつ帰るか自分でも分からない
莉子は仕事してたら着いては来られないだろ?」


少し攻めてみる


「・・・え」


「待っていられるのか?」


ほら、もうひと押し


「俺は綺麗な風景は二人で見たいな」


「・・・、私、だって」


堕ちた、かな


「毎日、毎月、毎年
莉子と同じ時を過ごしたい」


「・・・私も、同じだよ
凛さんと同じ時を過ごしたい」


「莉子に永遠を誓うよ」


「凛、さん」


ギュッと抱きついてきた莉子を
同じように抱きしめ返す


作戦勝ちだと思った瞬間



「あ〜、やられた」


投げやりになった莉子の声がした


こういう場合の対処法はひとつ


「ん?」


「凛さんの策にハマった気がするんですけど」


「フフ、バレた?」


「ほら〜っ!この腹黒ーーーっ!」


「だって、離れたくないんだもの」


「はいっ!ネタバレした時点で
凛さんの負けです」


「負けで良いわよっ」


莉子が手に入るなら勝敗はこの際気にしない


「フフ」


「だから、早くお嫁においで」


「うんっ」


「言ったわね?」


「言ったわよ?」


どちらともなく吹き出して
どちらからともなく抱きしめ合って


「「大好き」」


なんだかハモったりして


「気が合うわね」


「だよね」


莉子と居るのは楽しい


「チャペルが良いな」


「叶える」


「でも、着物も着る?」


「叶える」


「新婚旅行は〜」


「下絵も描いても良い?」


「うんっ」


「じゃあ、世界一周とか行く?」


「えーーー」


「なによっ」


「世界一周とか、嫌なんですけど」


「アンタ、一生に一度だから
滅多にしないことしても良いのよ?」


「作戦立てようね」


莉子とのお喋りは尽きなくて


結局


ラウンジの軽食だけでお腹を満たして
シャンパンで乾杯して沢山写真を撮って


綺麗な夜景もそこそこに
家に帰ることになった









「ピロートークもできない
・・・・・・激しすぎっ」


「諦めろ」