莉子の実家から帰った夜は


リビングのパソコンで両親と姉達に莉子を紹介した


もちろん


「ちょ、美人じゃーん」
「凛にもったいないねぇ」
「莉子ちゃんお姉さん達に何でも聞いてね」


三人の姉の勢いは止まらなくて
莉子は楽しそうに話していた



そして・・・


風呂上がりの火照った身体を冷ますために


莉子を屋上へと連れて来た


「凄い、屋上まであるんだね」


「気に入ったか?」


「うん」


手摺にもたれながら秋の風に吹かれているだけなのに


莉子が隣にいるだけで


春が来たような気になる


「莉子」


「ん?」


「ごめんな」


「・・・なんで?」


「突然プロポーズして」


「あ〜、そのことかぁ
そりゃ驚いたけど、でもね?
私だって凛さんとこの先もずっとずっと一緒にいたいよ?
まだ付き合って間がないのに何言ってんだって自分でも思うけど
凛さんとなら楽しい未来が待ってるって思うの」


あぁ、反則


「だからね?私からもお願いします
凛さん。私と結婚してください」


「はい」


色々言いたいことを全部飲み込んで
返事だけをすると、莉子を抱きしめた


「凛、さん?」


「ん?」


「苦しいんだけどっ」


「苦しくしてんだよ」


「は?」


あーーーもう許せないっ


「アンタさ、アタシがプロポーズしようと此処へ連れて来たのに
何、先に言っちゃうのよっ!!」


「フフ」


「何笑ってんのよっ!」


「だって」


「だって、なによっ」


「私の勝ちよね?」


「キーーーーーーーーッ
アンタ、実家で突然プロポーズしたのの仕返しじゃないでしょうね」


「仕返しに決まってるでしょ」


「ハァァァァ??」


「だって、こんな夜景の綺麗なところに連れて来られて
気付かないバカいないよ?」


「あーやだ、もーやだ」


悔しいけど、ほんと悔しいけど


嬉しいから、良しとする



「キャ」


勝ち誇っていた莉子を抱き上げると
そのままの勢いで屋上をあとにした


「え、え、凛、さん?」


「俺、末っ子で負けず嫌いなの、知ってる?」


「知らない」


「負けっぱなしとか無理だから」


「え?」


困惑した莉子を寝室に連れ込むと
ようやくその意味を理解したのか


潤んだ目を向けてきた


「愛してるよ、莉子」


もう、離してやんない