凛子ママこと【BAR 凛】のマスター凛さんとは


入社式後の歓迎会の三次会で先輩に店に連れてきて貰ってからの付き合い


一見さんお断りの会員制BARは
大学の時には考えられない程の大人の雰囲気だった


だから、同期での飲み会の締めには必ず立ち寄るし


私一人でも安心して入れる店になった

平日暇を持て余して週に三回もカウンター席に座ることがある


というか・・・他の店を知らないってだけなんだけどね


他の店を開拓する気にもならないほど
居心地の良い空間

凛さんのギャップとマホガニーが映える
落ち着いたアンティークな調度品と内装

控えめに聞こえるジャズ

どれもが私の心を掴んで離さない

会員制BARの会員基準を深くは知らない

会員の同伴でしか入れない一度目
凛さんがお気に召さなければ
二度目はないらしい


「てか、今更なんだけど
此処って凛さんの家なの?」


「ほんと今更よね?」


フフといつものように笑った後で
「BARの二階よ?」とネタバラシしてくれた


確か・・・凛は雑居ビルではなくて
三階建ての比較的新しいビルの一階だったはず


「え、自社ビル?」


「自社ビルって、面白い子ね莉子は
そ〜よ。我が家よ?そして一階が店舗になってる」


「知らなかった」


「ま〜、教えてなかったからね?」


「どこから入るの?」


「えっと、裏から?」


「そうなんだ」


此処に来た記憶がないから
BAR以外の店がない一階を思い出した


「はい。此処に座ってて」


手を繋いだまま入った部屋は
広いリビングルームで


BARと同じような落ち着いたトーンの家具が最低限並ぶ


凛さんの雰囲気ピッタリのお洒落な空間だった


シンプルながらもヌメ革のベルトが付いた黒いエプロンを着けた凛さんは


どこまでもイケメン


キッチン越しのカウンターに二つだけ置かれた背の高い椅子に腰掛けて


冷蔵庫を開け閉めする様子を眺めた