それだけ言い、花枝は走って警察署から出る。もう免許の書き換えをしている心の余裕はなかった。警察署を出て、花枝は大きく息を吐く。心臓がドキドキとうるさい。

「……何なのいきなり」

花枝の頬は、ほんのり赤く染まっていた。



麦と出会い、告白をされるという出来事から三ヶ月ほど経ったある日のこと、仕事が休みのため花枝がのんびり録画欄に溜まっていたドラマを見ていると、玄関のベルが鳴り響く。

「は〜い」

花枝がドアを開けると、そこに立っていたのは麦だった。コンビニの袋を下げ、「遊びに来た!」と笑う。花枝は隠すことなくため息をついた。

あの告白事件の後、花枝はそのまま家に帰ったのだが、その日の夜にベルが鳴り、ドアを開けると「ひどいよ、人が一生懸命告白したっていうのに……」と頬を膨らませて不貞腐れた麦が立っていたのだ。麦に住所などは教えていないため、当然花枝はパニックになる。

「は?何であんた、うちの住所知ってんの!?」

「花枝のお母さんが教えてくれた」