「あんた、警察官になんてなってたんだね」

地元を出てからは、忙しくて麦とは連絡を取っていなかったため、何をしているのか知らなかった。麦が警察官など想像すらしたことがなく、花枝の中で一番驚いたことにランクインしてしまう。

「あのね、花枝ちゃんに会えたら絶対に言わなきゃいけないって思ってたことがあるんだ」

恥ずかしそうに制服のズボンを握り、頬を赤く染めながら花枝を見つめる。そして帽子を取り、右手を差し出しながら頭を深く下げる。驚く花枝に対し、麦は言った。

「ずっと前から好きです。俺と付き合ってください!!」

そして話は冒頭に戻るのだ。

「麦、顔上げてよ。みんなジロジロ見てるし!」

恥ずかしさが込み上げ、花枝は慌てて声をかけるも麦は「返事をしてくれるまで、絶対に上げない!」と首を横に貼りながら言う。ますます周りにいる人たちが見つめ、花枝は顔を真っ赤にしながら叫ぶように言う。

「あんたとあたしは幼なじみだから!絶対に付き合うとか無理!!」