席替えをしても前後になっただけで本当に幸せだった。彼はよく後ろを向いて、私に話しかけてくれた。
ある時も、彼は後ろを向き、私の筆箱に書かれていた英語を一緒に読んでいた。もうそれだけでも楽しかった。そんな時、
クラスメイトから「お似合いだね」「彼は君が好きなんじゃない?」などと言われ舞い上がっていた私は、ぼそっと「私は好きだよ…」と言ってしまっていた。心の中で留めていたはずなのに。彼は気まずそうに私に背中を向けた。

やってしまった、と思った。

けれど神様は意地悪で席替えでは隣だったり前後、クラス替えでは同じクラスだった。

けれど、告白してしまった次の年、美術で絵を描いていると、「なんかその絵の雰囲気いいね、好きだなぁ」と言われ、顔を隠すように触ると熱くて本当に焦った。彼は私に好意を持っていない。早く諦めろ、私。心の中で何度もそう言った。