確かに、昨日ハルくんといたのは私。

でもキスはしていない。

誤解されたくないから、もちろん私は反論する!


……が、言ったあとに、黙っていればよかったと後悔することになる。

なぜなら……。


「ちがない!」


“違う”と“してない”がまざって、噛んだみたいになってしまったから。


これじゃあ動揺してるみたいじゃん…!

あー……こんなことなら、無視すればよかった。


……でも、誤解されたくなかった。

瞬に……。


「なにそれ。動揺してんの?」

「してない……」


やばい……負けそう。

怖くて瞬の方も見れない。


「やっぱり有咲だったんだー。キスしてたってことは付き合ってるってことだよね?」


不敵な笑みを見せる森下さん。

確信を隠しきれていない。


それどころか、嘘か本当かはどうでもいいから、事実をねじ曲げようとする気概すら感じさせる。


精神ボロボロの私は、それでも……

“付き合ってない”

否定しようと口を開く。


……しかし。


「付き合ってねぇよ」