朝、キスして。


「本当に俺は大丈夫だから。……あぁでも、俺と先生の荷物持ってくれる?」

「うん」


冗談を言えるくらいなら大丈夫かなと思ったけど、頼ってくれてよかった。


受け取ったリュックはそんなに重くない。

……瞬の方は。


ずしんと来たのはガイコツ先生の荷物の方。

ドリンクやタオル、貴重品を入れているだけではこんな重さにならない。


「おっも!何が入ってるんですか!?」

「すいません……。飲み物の予備と救急セット、あとカメラとか本とか……山の生き物の記録を残したくて……」


どうりで重いわけだ。


こんなの背負って登ってたんだ……。

課外授業しなくてもいずれ疲れていたかも。


でも、ドリンクの予備や救急セットは生徒のため。

なら文句は言えないね。


先生の重いリュックを抱えるように持とうとして。

……しかし。


急に軽くなった。


「優雨ちゃん…っ!」

「一緒に持とう」


優雨ちゃんが手を差し伸べてくれた。