朝、キスして。


2クラス分が通り過ぎたとき、先生がおもむろに立ち上がった。


「そろそろ行きましょう……」

「行けますか?」

「3分の2は登ったはずですから、残り頑張ります」


と言う先生の息は正常に戻ったけど、足はもたついている。


「じゃ、一緒に頑張りましょっか」


すかさず、瞬が肩を貸して支えた。


「そんな……!1人で歩けますよっ」

「先生、足ガタガタいってるよ。俺なら大丈夫なんで気にしないでください」


安心させるように笑みを浮かべるけど、その笑顔はやっぱり本調子じゃない。

だから私は、先生に聞こえないようにこっそり声をかけた。


「本当に大丈夫なの?寝不足なんでしょ?」

「このくらい平気」


強がっているようには見えないけど……。


「肩を貸すくらいなら私だってできるよ」

「おんぶはしてくれないのに?」


…………。


冗談を言っている場合ではないのですが?