朝、キスして。


私も立ち止まる。


「有咲、行かないの?」

「うん。優雨ちゃんは先に行ってて」


先生のゾンビ化の原因は、教師スイッチを押すだけ押して切れなかった私のせい。

責任を感じずにはいられない。


だから先生に付き添う、私1人でも……。

と思ったのに。


「それなら私も残るよ。1人で遅れて登るの嫌でしょ?」


優雨ちゃんが足を止めた。

そして、もう1人……。


「ハルくんも?」

「何かあれば俺が肩を貸すよ」


ハルくんも付き合ってくれるらしい。

2人とも優しい…!


先生の体力が戻るまで、3人で付き添うことになった。


「僕に構わず行ってください」と先生に言われたけど、適当に言葉を並べてその場に留まった。


クラスメイトの背中が遠ざかっていく。

代わりに、来た道から次のクラスの声が聞こえてくる。


後ろに残り4組が控えているから、時間は充分にある。


とそこへ……。


「なにかあったの?」


最後のクラスが来るまでに体力が回復するといいな、と思っていた私の耳に声が届いた。