朝、キスして。


4組の前の方を歩く瞬の姿を見つけられるくらい先が見える列。

同じ恰好をした集団がルールに則って歩いている。それがまるで……


「アリの行列みたいだね」


黒色のジャージだから、もうそうとしか見えない。


会話が途切れたタイミングで、軽い気持ちで……本当にかるーい気持ちでそう言った。

あまりにも暇すぎて、つい思ったことがそのまま口から出ただけ。


……それが間違いだった。


私の発言に対する反応が2つ。


1つは、前から笑いが……。

「なにそれ」と優雨ちゃんが笑う。


もう1つは後ろから……。


「渡辺さん、アリに目をつけるとはなかなかいい目をしていますね。アリが列を形成するのは、実は匂いが関係していましてね」


声を弾ませて語り始めるガイコツ先生。


……やってしまった。

どうやら私は、彼の“教師スイッチ”を押してしまったらしい。


「先生ごめんなさい。私、そこまでアリに興味は……」

「そうでしたか……」

「う、うそです!すごく興味あります!」