4組の前の方を歩く瞬の姿を見つけられるくらい先が見える列。
同じ恰好をした集団がルールに則って歩いている。それがまるで……
「アリの行列みたいだね」
黒色のジャージだから、もうそうとしか見えない。
会話が途切れたタイミングで、軽い気持ちで……本当にかるーい気持ちでそう言った。
あまりにも暇すぎて、つい思ったことがそのまま口から出ただけ。
……それが間違いだった。
私の発言に対する反応が2つ。
1つは、前から笑いが……。
「なにそれ」と優雨ちゃんが笑う。
もう1つは後ろから……。
「渡辺さん、アリに目をつけるとはなかなかいい目をしていますね。アリが列を形成するのは、実は匂いが関係していましてね」
声を弾ませて語り始めるガイコツ先生。
……やってしまった。
どうやら私は、彼の“教師スイッチ”を押してしまったらしい。
「先生ごめんなさい。私、そこまでアリに興味は……」
「そうでしたか……」
「う、うそです!すごく興味あります!」



