朝、キスして。


***


家から近いという理由で同じ高校に進んだ俺と有咲。


心機一転、新生活が始まったとしても距離は変わらず。

クラスも校舎も違うから学校で会うことはほぼないし、家の近くですれ違うことも少なかった。


正直どうしていいのかわからない。

っていうのが、俺が有咲を避け続ける理由だった。


そんなある日。高校に入学して2ヶ月が経った頃。


「渡辺有咲って知ってる?」


有咲の友人関係も学校での振る舞いも一切知らない。

有咲の“あ”の字も入ってこない。

そんな生活の中で、突然出てきた有咲の名前。


クラスの友達に問われて。

ビックリしながらも俺は、「知らない」と冷静を装った。


「そっかぁ。瞬なら顔が広いから知ってると思ったんだけど」

「その子がどうしたの?」

「バスケ部の友達に彼女ができてさ、それが渡辺有咲って子らしいんだ。でも俺、どんな子か知らなくて」


本当に偶然だった。

何気ない日常の中で、有咲に彼氏ができたことを知った。