「ハルー?」
どうしたの?
そう訊こうとしたときだった。
ハルくんを呼ぶ声がした。
「ちっ」
傍にあった自販機コーナーへ身を隠すハルくん。
……今、舌打ちした…?
氷王子でも舌打ちするんだ。ちょっと意外。
ハルくんが隠れたと同時、曲がり角から他クラスの女子たちが姿を見せた。
「あっ!渡辺さーんっ!こっちに氷王子が来なかった?」
ちらっと横目で見ると、唇の前で人差し指を立て、「教えないで」と無言で訴えてくるハルくん。
その仕草で色気が2割増し。
「き、きてないよー…」
「そっかぁ。どこに行っちゃったんだろう」
嘘をついてしまったことへの罪悪感を残しつつ、彼女たちがいなくなってほっとする。
「助かった」
ハルくんが出てきた。



