「せっかく早く起きたのに。そんなことしてたら遅れちゃうよ」


もう!と頬を膨らませながら、部屋を出ようとした私。

不意に後ろから抱きしめられた。


「な、なに?」

「忘れもの」


忘れもの……?

なにか忘れたかな、と少し思考を巡らして気づいた。


「ちゃっかりしてんね」


呆れるけど自然と笑みがこぼれる。


私は振り返って──。

不敵な笑みを浮かべるその唇にキスをした。





朝、キスして。~Fin~