「えっ!?」


これはもしや……。


「俺がおんぶして帰るよ」


やっぱり!


「いいよ!私、重いもん」

「今さら何言ってんの。ほら早く」


急かされて、渋々瞬の背中に身体を預けると、軽々と持ち上げられた。


「全然軽いじゃん」


その帰り道、どんな話をしたのか正直、憶えていない。

ただドキドキして、胸の鼓動が伝わっちゃわないかヒヤヒヤして。


憶えているのは、

“好きだよ”

って何度も言いそうになって、言えなかったこと。


大切なものを扱うように首に手を回して、体温を感じることしかできなかった。



トゥルルルルルル────。

不意に着信音が耳を貫いて、意識を現実に戻す。