「優雨ちゃん、あのさぁ……」
準決勝まで時間があるので一旦戻ろうと教室に向かっている途中、有咲がおもむろに口を開いた。
「話があるんだけど……」とわざわざ前置きまでして。
「話?なに?」
「スポーツ大会が終わったらちょっと時間もらえる?」
今ここではできない話なのかな?
時間を必要としている言い方に引っかかりを覚えたけれど、とりあえず「いいよ」と答えた。
有咲とは、宿泊研修で同じ班になってから一緒にいることが増えた。
常に一緒にいるというよりは、気づいたら一緒にいる。
他愛ない話をしたり、世間話をしたり。沈黙が気にならないから何も話さなかったり。
普段の私たちはそんな感じ。
だから改まって話をするのが珍しくて、「いいよ」の答えに少しだけ不安が乗った。
「学級委員」
教室に到着する直前、不意に背後から呼ぶ声が届いた。



