有咲と2人のときは大丈夫なのに、瞬が加わるとぼーっとしてしまったり居づらさを感じるようになったり。
そうして違和感が重なっていくと考えるようになる。
どうして?
疑問に思って考えを巡らしたら、簡単に答えが出た。
私は瞬を好きになっていた。
呆れる。
今は人間関係を構築するつもりはないって思っていたのに、友だちどころか好きな人ができちゃうなんて……。
でもそれは、有咲が瞬に抱いているような強く光るものじゃなくて、曖昧に揺れる陽炎のようなささやかな灯火だった。
これは恋と呼べるのだろうか?
今でも恋だって断言できない。
吹けば飛びそうなほど淡い感情。
一時の気の迷いだって言われても納得できそう。
だからあの日──期末テストを目前に控えた金曜日の放課後、あんなことをした。