朝、キスして。


瞬の紡いだ言葉が俺の考えを止めた。


「しょうがないって諦めることで自分のなかに落とし込むっつーか……。本音を言うとムカつく。他の男が有咲を好きになるの、素直に認められるわけねぇよ」


瞬はまっすぐにぶつかってくる。

そりゃ自分の心が醜くも見えてくるよな……。


「じゃあさ」と無意識に言葉が出た。


「俺が有咲を好きって言ったらどうする?」


瞬は顔色を変えなかった。

ただじっと俺を見てきて、だけど眼光が鋭くなった。


「気づいてた?」

「うんまあ……そうだろうなって」

「なのに何も言ってこなかったんだ」

「諦めてくれって言えばよかった?……俺、正々堂々むかえ撃てるほど余裕ねぇんだわ」


声にも表情にも複雑な感情を滲ませる。

普通は隠したいと思う嫉妬心を、瞬は隠さずに伝えてくる。


「ハルが何もしないんだったら、そのまま何もなかったことにしたい」


2人がうまくいけばそれでいいと思ったのは、瞬が有咲が思っているほどいい奴じゃないから。

瞬も有咲と同じで、嫉妬や独占欲に塗れてる。