朝、キスして。


期末テスト最終日の放課後。


「ハル、ちょっと訊きたいことがあるんだけど」


瞬が話しかけてきた。


真剣なまなざし。

何を訊きたいかはその表情ですぐ察した。


「なに?」

「有咲からなに聞いた?」


やっぱり。

この前──テスト初日に有咲と話していた話の内容を知りたいんだろう。


「有咲に訊けば?」

「何度か訊いたよ。でも教えてくれない。あーなると頑固だから、絶対教えてくれない」

「有咲が言わないなら俺も言えないだろ」

「だろうとは思ったけど……」


有咲が言えない気持ちも、瞬が知りたい気持ちもわかる。

有咲を想うなら、瞬に教えてあげたほうがいいんだろう。


話を聞いて思ったのは、なんで有咲が1人でそこまで悩まなくちゃいけないんだって。

元凶は瞬。引き金を引いたのは優雨なのに。