2日目の昼食時。
昨晩のキスのふりを森下に蒸し返された。
みんながいる前で聞こえるようにわざと、
『昨日、ハルとキスしてたの有咲でしょ!』
嘘でも本当でもどっちでもいい。とにかく盛り上がりそうな話題を提供する。
森下らしい汚いやり方だ。
そんなことしたら、噂の真偽が不明なままあっという間に広まる。
そうやって俺も勝手に広められてきたからわかる。
だから……。
『おまえら、事実をねじ曲げて噂話流すの得意じゃん』
自分でも驚くほどイライラが声に乗っていた。
“氷王子”なんて呼ばれてるらしいが、初めて自分に氷属性があるのを実感した。
だって、場を凍らせてしまったから。
吉田のおかげですぐに空気が戻ったからよかったけど、一歩間違えればもっと最悪の空気にさせていた。
ただでさえ、彼女を居づらくさせているのに……。



