*ハルSide*
俺の恋は、始まる前から終わっていた。
初めはクラスの女子の1人にすぎなかった。
前の前の席に座る同じ“ワタナベ”姓を持つクラスメイト。
最初の認識は、
『はーい!渡辺さんがいいと思いまーす!……あっ、有咲の方です』
学級委員を押しつけられた哀れな女子。
ああそれと、
『いいよ。俺がやるから』
『私がやる!』
『やりたくねぇんだろ』
『いつそんなこと言った?』
『顔に書いてある』
瞬と言い合っていたとき、仲いいんだなと思った。
宿泊研修で同じ班になっても、
“これから関わることはないだろうな”
という印象は変わらなかった。
俺も彼女も自ら異性に関わっていくタイプではないから、互いにそうだったら話す機会はない。



