「もうすぐ夏休みだぜ?どっか遊びにいこうよ、瞬!」


休み時間。

吉田くんの大きな声が聞こえてきた。

教室はそれなりに騒がしいのに、無駄に声がでかい吉田くんのせいで嫌でも会話が耳に入ってくる。


「どこに?」

「うーん……あっ、祭りは?夏休み入ってすぐ、うちの近くで夏祭りがあるんだよ。けっこう大きくてさ」

「へぇ」

「そういや優雨って、俺ん家の近くに住んでるんだよな?行ったことある?」


ちらっと振り向くと、吉田くんが優雨ちゃんに話しかけていた。


「あるよ。毎年妹と行ってる」

「マジか!今年も行く予定?」

「たぶん」

「じゃあもしかしたら会えるかもな」


それ以上は聞いていたくなくて、私は逃げるように教室を出た。