はやる気持ちで廊下を歩いて……教室にたどり着いたとき。

私はなんとなく足を止めた。


瞬しかいないと思っていた教室に、瞬の他にもう1人クラスメイトがいたから。


窓側の後ろから3番目の自分の席で、片腕を枕にして眠る瞬。

テスト勉強の途中だったのか、右手にシャーペンを握りしめたまま寝ている。


そんな瞬の傍に、こっちに背を向けて優雨ちゃんが立っていた。


じっと瞬を見下ろす優雨ちゃん。

“どうしたの?”

そのひと言が私の口からすぐに出ていれば、違う結果になったかもしれない。


さっきまで優雨ちゃんのことを考えていたから反応が遅れた、一瞬のあいだに──


眠る瞬の顔に、優雨ちゃんが自らの顔を寄せた。


「っ、!!!」