優雨ちゃんを家まで送り届けたあと、瞬と家路に就く。


手を繋ぎながらも一歩外を歩く瞬。

小6の移動教室でやった肝試し大会で、クラスの男子と手を繋がないといけなくなったときのような距離感。

なんだか心にも距離を感じる。


これは私が作った距離感じゃない。瞬が作った距離。

だから寂しい。


「あの、瞬……?」

「ん?なに?」


怒ってるわけじゃないから余計に寂しい。


「ごめんね」

「なにが?」

「ひどいこと言って……。『彼氏のふりしてあげれば』なんて……」

「あれね。まあ確かに傷ついたけどさー。だって俺、有咲の彼氏だし、有咲以外の彼氏になるつもりないし、俺のことなんだと思ってんの?って感じだよね」


たたみかけるように言われて言葉がチクチク刺さる。

ひと言の反論も出ない。
おっしゃる通りで……。


「でも、有咲は優雨を心配して言っただけだから、怒るのも違うなって」

「違う!」

「?」