朝、キスして。


スマホで時間を確認すると、まもなく10時半を迎えようとしていた。

一般的な就寝時間は知らないけど、12時に寝る私からしたらかなり早い。


「俺、朝弱くてさ……最近、有咲が起こしにきてくれるんだよ。だから早寝してるんじゃねぇかな」


いやいや。それってどうなの?

瞬を起こすために有咲が早く寝てるのに、起こしてもらってる本人はこの時間まで出歩いてるって……。


瞬がお願いしてるわけじゃなくて、有咲が好きでやっているみたいだからいい──はずないよね。


「有咲って男をダメにするタイプだよね」

「えっ、俺、ダメになるの?」

「うん」

「それは有咲に申し訳ねぇな」

「だったら、有咲に頼らないで頑張りなよ」

「んー考えてみるよ。じゃ、また明日」


瞬は最後までいつもの笑顔を見せることなく、来た道を引き返していった。


暗闇に消えていく背中をなんとなく見送る。

完全に姿が見えなくなっても、視線が動かない。


有咲と瞬を見て、なんで苦しくなるのかわかった。

私が諦めているものを、2人はすでに構築しているからだ。


諦めていると同時に憧れているもの──リセットされない関係。


たなびく風がざわつかせる。

草も木もないのに、ざわざわ騒ぐ。


──なにが?


*優雨Side End*