「ゆ──」
「っ!」
肩を掴まれた。
気づかないうちに距離をつめられていた!?
電撃のようにぞっと寒気が走り、身の毛がよだつ。
誰かに操られているんじゃないかと錯覚するほど言うことを聞かない身体。
「い、やっ!」
「うわっ!」
それでもなんとか身を翻しながら、持っていたカバンを振り回す。
しかし、教科書もろもろが入ったカバンは無情に空を切るだけ。
……当たらなかった。
カバンの重力に身体が持っていかれそうになったとき、顔を見た。
「びびったー」
そこにいたのは、さっきの男──ではなく。
夜を背負いきれていない甘い顔立ちの男──瞬だった。
「瞬っ……。なにして……っ」
「吉田の家から帰る途中でさ。そしたら優雨を見つけて……。つーかこの場合、先に声をかけるべきだったな。ごめん」



