朝、キスして。


ただ時間を潰しているのか、それとも誰かと待ち合わせをしているのか……。

まさかね。

一抹の恐怖を覚えたとき。


「っ!」


目が合った。

思わず逸らして、家の方向へ歩き出す。


気のせい、だよね。


スタスタと、自然と早歩きになる。


よくドラマや漫画である──


『なんだ、この殺気は!?』

『なんか見られているような気がする……』

『後ろから気配が……!』


そんな超能力的な直感を、抱いたことがないと言ったら嘘になるけれど、だいたい気のせいで済んだ。


だけど、今は……確実に感じる、後ろからの気配。

ちらっと振り返ると、やっぱりついて来てる……!


暗闇の中、一定の距離を保ちながらついて来る男。


たまたま帰る方向が一緒なだけ、じゃないよね……?

どうしよう……、お店に戻ればよかった。


でも、今さら引き返せない。

少し距離があるし、撒けるかな。


さらに歩く速度を上げようとした、そのとき。