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「お疲れ様でした」
「お疲れー」
夜10時過ぎ。
バイトが終わって、店を出る。
見慣れた夜空に星はなく、雲が月さえも覆う。
週に3日、夕方の時間帯で入っているこのバイトも、気づけば半年が経った。
駐輪スペースがないために自転車通勤ができないのを除けば、希望通りのシフトで入れてくれるありがたいバイト。
夏休みになったらもう少し時間を増やそうかな。
なんて考えていた私の思考が、突如、停止する。
……あの人、まだいたんだ。
店を出てすぐ。
家とは反対方向の道端で、ガードレールに腰かける男を発見した。
今は黒いパーカーにジーンズというラフな恰好をしているけれど、制服姿を見たことがあるからたぶん同い年くらいの男の子。
最近、よくお店に来るようになったお客さんだ。
今日も9時半くらいに来て、漫画を立ち読みしたあと、ガムを買って退店した。
滞在時間は、どのくらいだったかな。
……15分くらい?



