*優雨Side*


「優雨ー!」


お茶にしようか、紅茶にしようか。

自動販売機の前で何を買おうか迷っていると、私を呼ぶ声がした。


「ちょうどよかった」


声をかけてきたのは、2人の女子。

1人は、私の記憶のどこを探しても憶えがない名前すら知らない子だけど、もう1人は中学のとき3年間同じクラスだった友達。

高校に入ってからはクラスが離れてほぼ会えていないから、久しぶりに顔を見る。


彼女は購買で買ったらしきパンを抱えていて、たまたま私を見つけて声をかけてきたのだとわかった。


「優雨、元D組のグループラインから抜けてたよね?今度、クラス会しようってことになったんだけど、参加するー?」


元D組──中学3年生のときのクラス。

わりと仲の良いクラスだった。


合唱コンクールのとき率先して自主練をしたり、担任の先生の結婚祝いをサプライズでしたり。

クラスのグループラインも頻繁に動いていた。


仲良しの定義が人それぞれ違うとしても、中学3年間で1番楽しくて仲の良いクラスだったと思う。


でも、卒業したあともしばらく動いていたそれは、1ヶ月も経たないうちに過疎化した。


私がグループから抜けたのは、半年くらい前。

アルバイトを始めて、グループ整理をするついでに退会した。