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しとしとと雨が降る日。
初めて入る何かの準備室に、窓の外から聞こえる雨音が妙に響いていて、ごくり息を呑む。
入ったと同時に閉められたドアに背をつける私は、逃げ場を失った。
目の前には瞬。
後ろのドアは、瞬が手をついていて開かない。
薄暗い部屋の中、向かい合う私たち。
見上げると視線が重なって、その距離が近くなる。
鼻と鼻が触れるところまで来て……。
さて。なんでこんなことになっているのかと言いますと──
さかのぼること約15分。
5時間目も3分の2が過ぎ、授業の残り時間が気になり始める頃。
不意に、背中に何かが触れた。
いきなりのことでびっくりして、身体が小さく跳ねる。
授業中に後ろから触られるなんて、犯人は1人しかいない!
いや、背後霊とかだったらわからないけど……。
小さく振り返ると、やっぱり犯人は瞬で。
触れた何かは手だった。
だけどそれは、意地悪とか出来心とかではなく。
片腕を枕にして伏せる瞬。
そのせいで手が投げ出され、机からはみ出したのだとわかった。
寝てる……。
もう!びっくりさせないでよ。
と心の中でツッコミつつ、椅子を引いて距離を取る。



