朝、キスして。


やわらかな声も優しい言葉も、それに添える笑みも。

すべてが愛おしくて、キュンと鳴るのは私の胸。


どんなに長い時間を共に過ごしていても、鳴れば鳴るだけ好きが積もって、ときめきは枯れることを知らない。


苦しいような心地良いような、ドキドキをくれるのは、この世でたった1人──瞬だけ。



──とまあ、キュンとなって終われば、綺麗な幕引きだったのに。


「しばらくは、こうして隠れて付き合うのもいいかもな」

「っ!」


なっ……!


「スリルがあって」


瞬は、にんまりいたずらっ子の笑みを浮かべた。


ダメだ……。

瞬に余裕を持たせたらダメ!

どんなことをしてくるかわからない。


テーブルの死角で、密かに握られた手。

離そうにも、指を絡められて離せない。


気を緩めた私が甘かった。


ときめきだけでは終わらせてくれない。

意地悪な瞬に振り回されて、悔しいような恥ずかしいような。


私の鼓動をせわしなくするのも、やっぱり瞬だけだ。