「っ!?なにすん……っ」


ただ触れるだけならまだしも。

ぐっと押されて、どんどん壁際に追い込まれていく。


ついには反対の肩が壁に当たり、擦られ……。


「ぎゃー!削れる削れる!」


私という存在が削れていく!

痛くはないけど、声を上げてしまった。


すると、そんな私の声にママたちが反応。


「何してんのー?」

「仲良いね」


この状況を見て、呑気に笑う。


あなたたちの目は節穴ですか?

仲良いというか……。

拗ねた瞬の子どもっぽい行動に巻き込まれているだけなのですが……。



「有咲は付き合ってること隠したいの?」


再び歩き出して、瞬が訊いてきた。

会話が聞こえないよう、ちゃんと声を落としてくれた。


「ううん」

「じゃあどうして、あからさまに避けるんだよ」


バレないかとひやひやしているけど、隠したいわけではなくて……。


自分の気持ちをうまく言葉に乗せるのは難しい。

それでも言葉にして言わないといけないならば……。


「今は、付き合うだけでいっぱいいっぱいなの。その上、ママたちに騒がれたら……パンクする」


困惑、かな。