掴む手の力が緩んだ隙に腕を引いて、今度こそ私はそこから立ち去った。


「あっ、ちょっ…!……どうすればいいんだ?」


慌てふためく吉田くんの声がするけど、無視して逃げ帰る。


関係ない。私には関係ない。

瞬が誰と何をしていようが、私には関係ない。


そう何度も言い聞かせながら……。

一方で、心は押し潰されそうなほど苦しい。


『俺のものにする』って言ったのは誰?

もうどうでもいいの?


そんな自分勝手な想いばかりが溢れてくる。


私は瞬にとってなんでもない。

引き止められるだけの存在じゃない。

“たかが幼なじみ”なんだ……。