なかなか治安のよろしくない単語が聞こえたけど、きっと冗談でしょう。
瞬ママはそういうタイプの人じゃないし。
でも、そうまでして起きたかった事実は変わらない。
「どうしてそこまで……」
瞬間、瞬が口元を緩めた。
……しまった。
「聞きたい?」
またその意地悪な顔。
私は目を背ける。
「いい……」
聞かない。聞きたくない。
ていうか、聞かなくてもわかる。
顔に書いてあるよ──“有咲と登校したかった”って。
それにさっきも言ってたもんね。
『一緒に行こうと思って』と。
聞けば嬉しくなっちゃうのが目に見えてるから、聞きたくない。



