朝、キスして。


なかなか治安のよろしくない単語が聞こえたけど、きっと冗談でしょう。

瞬ママはそういうタイプの人じゃないし。


でも、そうまでして起きたかった事実は変わらない。


「どうしてそこまで……」


瞬間、瞬が口元を緩めた。

……しまった。


「聞きたい?」


またその意地悪な顔。

私は目を背ける。


「いい……」


聞かない。聞きたくない。

ていうか、聞かなくてもわかる。


顔に書いてあるよ──“有咲と登校したかった”って。


それにさっきも言ってたもんね。

『一緒に行こうと思って』と。


聞けば嬉しくなっちゃうのが目に見えてるから、聞きたくない。