朝、キスして。


騎士…?

誰だろう、と振り返る。


「よっ」

「!?」


甘いマスクに爽やかな笑顔を描く──瞬がいた。


「なんで瞬がいるの!?」

「一緒に行こうと思って」


はい?

一緒に行こうって……学校に?なんで?


呆気に取られる私の隣に、瞬は当たり前のように座った。

そして、私のお皿に乗る卵焼きを物欲しそうに眺める。


瞬の考えていることがぜんっぜんわからない!

わからない、けど……。


……まさかっ。


「もーらいっ」

「あっ、ちょっ…!」


卵焼きを奪われた!


「うまっ。うちのと味つけ違うな」

「瞬ママはしょっぱいのが好きだからね……ってそうじゃなくて!私の卵焼きっ!」


だぁーもう!それも違う!

瞬がいつもの調子で来るから、思わず私もいつもの調子で返しちゃったじゃん。


ダメだ。いつも気づけば瞬のペースに乗せられている。

反応しようとするからダメなんだ。

卵焼きは諦めよう。