騎士…?
誰だろう、と振り返る。
「よっ」
「!?」
甘いマスクに爽やかな笑顔を描く──瞬がいた。
「なんで瞬がいるの!?」
「一緒に行こうと思って」
はい?
一緒に行こうって……学校に?なんで?
呆気に取られる私の隣に、瞬は当たり前のように座った。
そして、私のお皿に乗る卵焼きを物欲しそうに眺める。
瞬の考えていることがぜんっぜんわからない!
わからない、けど……。
……まさかっ。
「もーらいっ」
「あっ、ちょっ…!」
卵焼きを奪われた!
「うまっ。うちのと味つけ違うな」
「瞬ママはしょっぱいのが好きだからね……ってそうじゃなくて!私の卵焼きっ!」
だぁーもう!それも違う!
瞬がいつもの調子で来るから、思わず私もいつもの調子で返しちゃったじゃん。
ダメだ。いつも気づけば瞬のペースに乗せられている。
反応しようとするからダメなんだ。
卵焼きは諦めよう。



