朝、キスして。


***


1泊2日の宿泊研修が終わって、土日を挟んだ翌月曜日。

いつも通りの生活が始まる。


大抵、月曜日って憂鬱だよね。

私の1日の始まりもやっぱり憂鬱……どころか最悪だった。


まず寝坊したでしょ。

そのせいで朝、シャワーを浴びれず。

おかげでくせ毛と格闘することになって、結局ポニーテールにした。


こういう日は、必ず大きな爆弾が待ち構えている。

そして、それはやって来た。


────ピンポーン。


朝8時前、チャイムが鳴った。


「こんな朝早くから誰?」

「誰だろ~。柑奈(かんな)かなぁ……あら!」


インターホンに映し出された人物を見た途端、ママが声を弾ませた。


うちのママと瞬のママ(柑奈さん)は、同じ小学校出身で大学まで一緒。

今ではお隣さんなんだから、本当に仲良し。

こうして時間問わず行き来するのはよくあること。


だから私も、来客は瞬ママだろうとほぼ確信していた。

……しかし。


朝食のパンを食べていた私の耳に飛び込んできた言葉。


「有咲、騎士(ナイト)のお迎えだよ~!」


ただでさえ明るい声に精一杯の喜びを乗せてママが言う。