「それ以上、上に移動させたらぶん殴るよ」
「うん、わかった。その代わり、俺の言うことも聞いて」
聞く聞く!
なんでも聞くから、早く離して!
くすぐったくて、熱くて、ゾクゾクするような感覚。
もういろいろ限界なんだって。
……そんな私に届いたのは。
「俺以外に触らせんな」
瞬にしては鋭い声だった。
私はこのとき、確かに胸の高鳴りを感じた。
抱きしめられて、お腹を触られて。
ただでさえドキドキしていたけど。
その中に、ドクンと脈打つような高鳴り……何かの始まりを告げるような鼓動を感じ取った。
俺以外って……まるで瞬には触らせていい、みたいな。
「どうして?」
「有咲は俺のだから」
「……瞬のものになった覚えはないけど」
「じゃあ、これから俺のものにする」
返ってくる言葉はいちいち力強くて。
ちょっぴり意地悪。
優しさのかけらが欠けた瞬を見るのは初めてかもしれない。
「それは……幼なじみっていう意味で?」
私は恐る恐る訊いた。



