朝、キスして。


っ……。

苦しい。苦しいな……。


瞬にそう言ってもらえるのがすごく嬉しいのに、苦しい。


「……本当に、ハルくんとは付き合ってないし、キスもしてない」


私は、昨日起きたことを話した。


森下さんたちが私の噂話をしているところに出くわしそうになって、ハルくんが咄嗟に庇ってくれたこと。

その前に女子に追われているハルくんを私が助けて、それに対するお礼だった──ということも話した。


「ふりってどうやって?」

「……顔を近づけられただけ」

「ふーん……」


幼なじみだからって、瞬の気持ちがすべてわかるわけじゃない。

……ただ。今、その声に乗せた感情だけはわかった。


“不満”


「ムカつくな、それ」


瞬が呟いて、私の考えが正しかったと証明する。


……ムカつくってなにが?

助けてもらったんだから、むしろお礼を言うべきでしょ。


ていうか。


「そもそも瞬がくじ引きで変な小細工をするから、そんなことになった……」


……あっ。言い過ぎた。