朝、キスして。


『有咲さん。あなたの行動を振り返ってみてください』


諭すようなシスターの声がどこからともなく聞こえてくる。


『はい、シスター。私は、ハルくんとキスしていたという噂を立てられて、瞬にだけは誤解されたくないと思いました。そして、もし誤解しているなら解きたいと思い、瞬を探して……』


とりあえず茶番はここまでにして……。

私の行動は、自意識過剰以外の何ものでもありません!


「なに?」

「……大丈夫?」


私は言おうと思っていた言葉を呑み込んで、代わりに気遣いの言葉をかけた。


横たわる人影──瞬は、あくまで表情を隠したまま。

「大丈夫」と答えた。


「……」


……戻ろっか。

寝るつもりだったなら邪魔になるだけだし……。


自分のバカさ加減を痛感しながらトボトボと引き返す。

……しかし。


「有咲」


名前を呼ばれた、直後。


────っ!


瞬に引き止められる。