「おまえ、重すぎ」


高校1年の3月──修了式の日。

3ヶ月付き合った彼氏に呼び出されて言われたのが、その言葉。


重い?もっとダイエットしなきゃダメ?

これでも一応、頑張ったんだけどなぁ……。

朝ご飯は王様のように、夜ご飯は貧民のように。毎朝ランニングもして。


せめて、お姫様だっこできるくらいまで体重を減らさないとダメだった?


……なんて、そういう物理的な意味じゃないことくらいわかってる。


要はあれでしょ。

気持ちが重い、って言いたいんだよね。


「それにさ。おまえって、どっちかっていうと……彼女じゃなくて、オカンだよな」


続けざまにまくし立てる彼氏。


オカン……。

お母さんならまだしも、オカンって……。


頭に浮かんだのは、世話焼きのおばちゃん。

パーマで、派手柄の服を着て。

「これ食べんしゃい」って言って、煮物を押しつけてくる近所のおばちゃん。


毎日お弁当を作るのがダメだった?

毎日ラインしたのが煩わしかった?